●「スーパーロボット大戦R−Evolution」
SRCの出発点はSRWツクールであり、それは最初期の人気シナリオが
マサキ氏のOSRWであったことからも明らかな事実である。しかしながら、
諸々の事情やシナリオの作者の試行を経て、現在のSRCは様々な可能性を
秘めた一つのツールとして確立している。それどころかSRWの名を冠した
シナリオの多くが石という状況が、近年の流れを物語っている。そしておそ
らくは、それを何より実感しているのが本作の作者である佐藤司氏であろう。
今更言うまでもないが、SRCシナリオ書きのなかで、最も他人のシナリ
オをプレイされているのが佐藤氏だ。初期からSRCにシナリオ書きという
かたちで関わりつつ、自身のサイトでプレイ日記を公開されており、その更
新頻度はほぼ毎日だった。ここでこんなことを書いている私にしてから、新
作をプレイするか否かの判断を、彼の日記の評価で決めていた時期がある。
――つまりは、そういうこと。
SRCの、ことシナリオ面にかけては第一人者である佐藤氏が今年、まと
めあげたのがこの「SRWR−E」だ。テーマは壮大で、それがゆえのSR
W形式だと私は踏んでいる。等身大キャラメインのシナリオは、身近な学園
モノや卑近なテーマを扱うには適しているが、佐藤氏の得意とするSFを絡
めた、時間と空間を超越するそれとの相性はあまり良くない。
過去と未来を行き来して、生命のありようを模索していく。
一つのテーマに版権作品を絡め、独自のストーリーを構築する。ここで肝
心となるのは作者の引き出しで、それが佐藤氏の場合はSFだったのだと思
う。萌えという要素は除外するとして、誰しも長けている分野がある。それ
を反映させられれば、そのシナリオは少なくとも楽しめるものになる筈だ。
これは思い入れのある作品と言い換えてもいい。この分野、この作品なら誰
にも負けない、負けたくないという意識が良い方向に作用すれば、それはプ
レイヤーにとっても作者にとっても、最良の結果へと収斂していくものでは
ないだろうか。佐藤氏は最も優秀なSRCシナリオ書きの一人だが、それだ
けではない。「SFなら誰にも」という強い自負を持っている。それが氏の
武器であり、シナリオ書きに必要な気概なのだ。
全15話からなるこの物語は随所に氏の持ち味をスパイスとしてきかせつ
つも、硬軟メリハリのある戦闘、萌え、版権作品を操る楽しさをバランスよ
くまとめている。土台となったゲームボーイアドバンス作品の「R」をプレ
イしたことのない私でも、特に問題なくデュミナス関連のイベントは受け入
れられた。それはシャルロット、エンディミオンのキャラ立てがしっかりな
されていたからであり、よく指摘されるオリジナルキャラの突出も、この点
をさえ配慮すればクリアできるのだという好例だろう。願わくば、これから
SRW形式のシナリオを書こうと準備している皆さんには、是非とも本作の
プレイをお奨めしたい。「SRCでSRW形式のシナリオを書く」、そのた
めに必要なことが、この作品には詰まっているからだ。多くは語らない。プ
レイして、感じてほしい。そして自作にフィードバックしてほしい。この作
品は、間違いなくSRCを語るうえで外せない傑作だからだ。(03/10/30)
|